アンパンマンの生みの親・やなせたかし先生には、弟・千尋さんがいらっしゃいました。
22歳という若さで逝去されており、やなせたかし先生の作品や考えに多大な影響を与えていることが読み解けます。
今回は、やなせたかし先生の弟・千尋さんの名前の由来などに注目しました。
【この記事で分かること】
・やなせたかし先生の弟である千尋さんの名前の由来
・弟の千尋さんがアンパンマンのモデルなのか
最後までぜひご覧ください。
やなせたかしの弟・千尋の名前の由来は?

やなせたかし先生の弟・千尋さんの名前の由来は「観音様のように深い海」であると推測できます。
まず、「千尋」には「非常に深い」という意味があります。
尋(ひろ):
水の深さや縄などの長さの単位。一尋は六尺(約1.8,)
「千尋」は非常に長いこと、極めて深いという意味となる
また、観音様の誓願は「千尋の海」に例えられます。
誓願:
どんな苦しみの中にいる人に対しても、33の姿となって助け、残りの生き物を悟りへと導く
これらのことから、やなせたかし先生・千尋さんのご両親は「広い心で周囲の人を包み込む優しい人物」になってほしかったのではないでしょうか。
やなせたかし先生の父親は新聞記者で、言葉には詳しかったでしょう。
また、やなせたかし先生自身が「たかし(崇)は山、ちひろ(千尋)は海」というニュアンスを書籍の中で述べていたことからも、兄弟で対照的な漢字を命名されていることが分かります。
やなせたかしの弟・千尋は京都大学の生徒で文武両道

やなせたかし先生の弟・千尋さんは、優秀な方でした。
京都帝国大学(京都大学)法学部の学生で、京都帝国大学卒業後は法律家や官僚になること無く、自ら海軍に志願しています。
その時点で、国のことを強く思う勇気ある男性だったことが分かります。
また、柔道2段で武道にも長けている人物で文武両道だったことが分かります。

やなせたかし先生の弟・千尋さんについて、やなせたかし先生は生前「やなせたかし おとうとものがたり-弟よ 君の青春はいったいなんだったろう-」という書籍を残されています。
その中で、戦地に赴く前に一度だけ会えた様子を綴っています。
「僕はもうすぐ死んでしまうが兄貴は生きて絵を描いてくれ」
当時、戦地となったフィリピン・バシー海峡は激戦地となっていました。
生きて帰れないこと、生きていたとしても壮絶な状態になることは千尋さんにも分かっていたはずです。
そんな心境の中で、お兄さん・やなせたかし先生を思いやる優しさがひしひしと伝わってきます。

やなせたかし先生の弟・柳瀬千尋の人物像は、2025年NHK朝ドラ「あんぱん」で「柳井千尋」として次のように描かれています。
幼少期は体が弱く、兄の陰に隠れるような弟だったが、大きくなるにつれ、家族思いで優しく、文武両道の青年となる。
引用元:NHK
やなせたかし先生は5歳の時に実父を亡くし、母親は再婚で家を出て、伯父夫婦の家で育てられています。
弟さんのことを想うやなせたかし先生の愛情はとても深く、そんな弟さんを22歳の若さで亡くしているやなせたかし先生の心境は慮ることが到底できません。
しかしそんな気持ちがあったからこそ、やなせたかし先生の代表作・アンパンマンは弟の千尋さんがモデルなのでは?と言われているんです。
やなせたかしの弟・千尋がアンパンマンのモデル?
やなせたかし先生の弟・千尋さんがアンパンマンのモデルではないかと言われています。
これは、やなせたかし先生が明言されているわけではなく、ファンの間での想像となっています。

理由は大きく2つあります。
・弟の千尋さんの顔が丸かった
・初期のアンパンマンのストーリーが「戦地に赴く男の子のようだった」から
まず最初の理由は、弟・千尋さんの顔が丸かったから。
中学生になってからは顎が伸びてきて、長い顔になりましたが、幼年時代はコンパスで描いたような丸顔でした。アンパンマンの顔を描くとき、どこか弟に似ているところがあって、胸がキュンと切なくなります。
引用元:書籍「人生なんて夢だけど」
やなせたかし先生が意識して書いていた訳ではないようですが、愛着を持って書いた結果が弟さんのようになってしまったのかもしれません。
次に、初期のアンパンマンでは「戦地に赴く男の子のようだった」から。
当初のアンパンマンではばいきんまんのような敵は存在しておらず、国境を越えたら敵の戦闘機と間違えられて撃ち落とされるという悲しい結末が描かれていました。
昔のアンパンマン pic.twitter.com/RLVGPXdNyL
— 佐賀みらい塾 (@smrijk) February 7, 2024
ばいきんまんと派手に戦う様子が描かれていたことも有名です。
また、アンパンマン自体に可愛らしさはなく「太ったおじさん」で、飢えた子供たちにあんぱんを配っていました。
今は小さい子向けにデフォルメされていますが、初期のアンパンマンは野生的でワイルド、そして人間味が強いキャラクターでした。
これらの理由から、アンパンマンと弟・千尋さんのことをつい重ねて見てしまいます。
アンパンマンがばいきんまんを倒さないのは、やなせたかし先生の「正義感」の定義によるものです。
正義のための戦いなんてどこにもないのです。
正義はある日突然逆転する。逆転しない正義は献身と愛です。
それは言葉としては難しいかもしれないけれど、例えばもしも目の前で飢えている人がいれば一切れのパンを差し出すこと。
普段何気なく見ていたアンパンマンには、やなせたかし先生による深い気持ちが込められています。
宜しければこちらもご覧ください。


2025年NHK朝ドラ「あんぱん」で千尋役を演じた中沢元紀さんの記事も宜しければぜひ!

さいごに
アンパンマンの作者・やなせたかし先生の弟・千尋さんの名前の由来や人物像などを詳しく見てまいりました。
【この記事で分かったこと】
・やなせたかし先生の弟の千尋さんは、名前の通り愛情が深く優秀な人物だった
・アンパンマンのモデルと言われており、やなせたかし先生の手によって世界中で愛されている
最後までご覧いただきありがとうございました!